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20110415

今回はUHF帯での重ね読みにチャレンジです。

例によって、まずはビデオをご覧頂きましょう。



またしても無骨なビデオで恐縮です。

(相変わらず、ナレーションとか字幕の入れ方が身についてません。。)


さて、読み取り対象は30枚のクリアファイルで、それぞれRFIDタグが貼付されている状態です。

ハンディ型の読み取り機で電波を照射すると、30枚きっちり読み取りできました!


だから何?って思われるかもしれません。

積層用のタグなら、それぐらい読めて当たり前と思われるかもしれません。


この実験のポイントは、ICチップの性能が向上してきたために、わざわざ重ね読み専用の装置を用意する必要が無くなった、ということです。


経緯について、少し解説させて頂きます。(業界の方は読む必要ないと思います)


一般的なRFID技術の弱点ってご存じでしょうか?


最近かなり克服されてきましたが金属面への貼付だったりとか、

水分の影響で読めなくなるなんてあたりは、よく聞く話ですよね。


他にも色々あるにはあるんですが、実は「重ね読み(積層読み、と言われることもあります)」も苦手分野のひとつです。


具体的には、読み取り対象が複数枚のRFIDタグがピッタリと重ねられた状態、

たとえば機密重要書類などの紙1枚ずつにRFIDタグが貼付されているような荷姿のイメージです。


従来の一般的なRFID技術では、タグ側のアンテナ同士が近接することで共振周波数がずれて、

結果としては読み落としが発生しやすくなる、という弱点がありました。


HF帯でもUHF帯でも、この弱点を克服するために色んな会社が専用のタグやアンテナの開発にトライして、失敗して、

うまく完成しても売上につなげるのは難しくて(専用品なので割高)、、、という悩ましいサイクルが長いこと続いていました。


そして、冒頭のビデオの説明に戻ります。


ビデオの中で使用している機材は、ATID社のAT-870という読み取り機と、タグはUPM社のDogBoneM4というタイプです。

どちらも専用品ではなく、様々な用途で使用されている非常に一般的な製品です。


にもかかわらず、今まで苦労してきた重ね読みをいとも簡単に達成してしまっている。。。

いやはや、技術進化のスピードは加速するばかりですね。


技術がどんどん進化する一方で、どうも最近、

ユーザへの提案内容の進化が追いつけていないような気がしています。。。頑張ります!